日本心理臨床学会第40回大会自主シンポジウムのご報告

2021年9月5日(日)日本心理臨床学会40回大会にて自主シンポジウムを開催しました。テーマは「セクシャル・トラウマ・インフォームドケア(STIC)を考え、体験する-性的トラウマに配慮ある支援の在り方を考える-オンライン配信で、100人以上の方々にご参加いただきました。

 

 

オープニングでは、グランディングで参加者とともに呼吸を整え、私たちCenter for HEARTが大切にしている理念「性的な傷つきを始め、さまざまなトラウマを抱える人たちが、そのトラウマを生きる力に変えていけるよう応援したい」を紹介しました。

 

 

前半は、トラウマ・インフォームドケア(以下TIC)における重要な視点「当事者の声に耳を傾ける」「支援者の安全も重視する」を前提に置き、セクシャル・トラウマ・インフォームド・ケア(以下 STIC)に特化する必要性について、深刻な爪痕(PTSD)をのこす・レイプ神話など、誤解されている・多くの人が何らかの性的トラウマをもち、ジェンダーやセクシャリティの問題も含む・語ることも聞くことも難しい(相談することが難しい)などの視点を示し、様々な分野で性的トラウマに配慮した支援、対応が必要であること、性的な傷つきにも適切に理解される社会へ変化していく必要性があることを伝えました。

 

STICの実際の取り組みとして、アメリカでは、20年前から司法から生活に至る様々な分野でSTICが実施されている状況について・日本では、昨今ようやく法律が整い、取り組みが始まっている現状について紹介しました。

 

 

後半では、Center for HEARTでSTICにフォーカスして実施しているSFRチームによるピアスーパービジョン、SFRチームによる支援者のセルフケアグループ自治体と協働した当事者セルフケアグループ「そよら」・性的トラウマを聴くための「支援者のためのセクソロジー講座」などをご紹介しました。

 

 

最後に、参加者が小グループに分かれてSTICのあり方について一緒に考えるディスカッションを実施しました。テーマは「性的トラウマを聞けるようになるために必要なこと」「自分たちも安全に、大事にしながら話を聞けるようになるためには?」内容をチャットでシェアして全体に共有し、多くの参加者がSTICに関心を持ち、実際に取り組んでいる様子がわかりました。

 

 

事後のアンケートでは「支援者のセルフケアの重要性がわかった」「あらゆる場面でいろいろな人を巻き込むことが大切だとわかった」「レイプ神話が自分にも思い当たる節があった」「自分を含めた周りの環境がまだまだ米国レベル(世界レベル)に追いついていないことがわかった」「自分がアップデートされたような感覚」「時間が短かった」など感想をいただきました。

 

 

今回のシンポジウムを通して、Center for HEARTが大切にしているSTICの理念「おもいやりと敬意のあるつながりをもち、適切に性的トラウマを聴けるようになること」をお伝えし、参加者が直面している課題・大切にしている思い・実践もうかがうことができました。このような機会を持てたことを心より感謝いたします。

 

 

Center for HEARTは今年8月、8年目を迎えました。今後も、STICの視点に立った講座や講演などを開催し、みなさまと緩やかにつながっていけたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。